これからウィズコロナの時代に初のインフルエンザのシーズンが近づいてきますね。
三蜜回避の為にJRでもダイナミックプライシングの活用の検討がされています。
業界などにいない方はピンとこないダイナミックプライシングについて今日は解説します。
ウィズコロナ時代の時代に押さえておきたい ダイナミック・プライシングとは
飲食業界からホテル業界に転職をした際に一番驚いたことが、価格が需要に応じて変動することです。
航空機業界やホテル業界では良く知られた価格設定方法です。
ダイナミック・プライシングとは
ダイナミック・プライシング(Dynamic Pricing)とは、
商品やサービスの価格を需要と供給の状況に合わせて変動させる価格戦略[1]。「動的価格設定」「変動料金制」「価格変動制」ともいう。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「ダイナミック」 動的なさま 力強く生き生きと躍動するさま 機能的な
「プライシング」 値付け
という意味の言葉を合わせた言葉になります。
「日ごとにより価格が変わる」という考え方は、航空機業界とホテル業界では広く知られている手法。
需要の集中の見込みが分かりやすく、かつ、仕入れ数が決まっている商品ついて良く見られている。
需要の高い時期は、価格を適正価格よりは高めに販売をし、閑散期に関しては価格を抑えて購入しやすいようにする手法。
小売りなどは、売れる時には仕入れ数を増加し在庫を抱えることで売り上げの最大化を狙うのだが、在庫を増やせない業界に関しては、確実に売り上げを最大化するための手法として知られている。
とはいえ、業界に入るまでは年に1度旅行をするかしないか、しかも旅行をするのは夏休みだけ。
という方にはなじみのない事だったと思います。
非常にシンプルにわかりやすいのは、スーパーの総菜コーナーの総菜が閉店間近に早数販売されている手法も仲間です。
ダイナミック・プライシングのメリットとは
ダイナミック・プライシングは、販売者・購入者ともにメリットがあります。
- 売上の最大化ができる
- 不良在庫の解消
- 需要予測で変動コストを抑えられるので利益も最大化ができる
- 需要の見込めない時期だとお手頃に購入ができる
需要の高い時期は、顧客が集中し忙しい分、売り上げが最大化するのは企業にとっては何よりです。
小売のように仕入れを増やせませんし、レストランのようにお客様の回転率を2回転3回転させられるわけではないので価格設定が重要となります。
ダイナミックプライシングは予約が早ければ早いほど、安いというメリットもありますので早期に予定を確定させられれば安く手に入れることも可能です。
また閑散期の旅行が安価にできれば、混雑回避もできて誰でも喜んで利用するでしょう。
企業側からすると、価格の変動で事前予約の状況が把握しやすいのでそれに応じた人員や管理コストを決められるので、ロスも少なくなります。
ダイナミック・プライシングのデメリットとは
デメリットは2つだけ
- 価格変動幅のギャップから不信感を得られ、信用を失うことも
- データ解析コストへの高額投資
以前、とある日本最大級のビジネスホテルの価格設定が話題になったことがありました。
そこのホテルは駅前などの立地のよい場所に全国何店舗も出店して、インバウンド観光需要に支えられて大きくなっていました。
首都圏で大雪警報が出たときに、ふだん5,000円前後で販売している部屋を20,000円まで上げていました。
大雪で帰宅困難が見込まれる利用者に対して倍以上の価格設定で販売したのです。
弱みに付け込まれている、と言われても仕方のない値付けですね。
いつもの小さなお部屋とアメニティー、自動チェックインに販売機での精算、おもてなしのサービスなどは全くないし、普段と変わりません。
ネットでの口コミが荒れ、大阪東京を行き来する芸人さんなどが面白おかしくトークのネタにしていたことを昨日のように思い出します。
それでも、客室はなく満室になったことが予測されます。
価格設定は難しいのですが、すべきは顧客満足度と企業の利益がともに最大化をするように設定すべきです。
また、膨大なデータ処理が必要となるので、設備投資が必要となりますし、私のいた会社でおこなった人海戦術は、人員消耗しますし残業時間も増えます。
投資ができれば、コストをかけるべきですがそこはまだ懸念材料となります。
ダイナミック・プライシングを活用している業界
以前は、旅行業界のように需要予測が比較的容易な業界のみの導入でした。
しかし、近年のテクノロジーの発達によりビッグデータの活用が可能になり応用できる業界が拡がってきた、もしくは使わない手はない、ということが理解できたからです。
懐かしいです。
私がホテル業界に転職した際には、デフレの象徴のビジネスモデルのホテルで「365日同一料金」「経済民主主義」をうたい、「家族での温泉旅行を年1回から月に1回へ」という理念で運営している会社でした。
時代の流れと、会社の成長とともに資本が変わったタイミングでレヴェニューコントロール(収入の最大化)をはじめ、価格の変動をさせていくようになりました。
その際に、データを全くとっていない田舎の旅館と同じシステムでしたので、支配人で興味のある者はデータを手計算で導いていました。
それも、夜遅くまで残ってね。
今はテクノロジーを活用すれば(会社が積極投資してくれれば)導入障壁は低くなっています。
ダイナミック・プライシングを活用している企業業界
最近ではJRが通勤電車に導入検討するように、多くの業界に幅広く活用されるようになってきました。
- 航空機業界
- ホテル・宿泊業
- スキー場
- 駐車場
- レンタカー
- スポーツ観戦チケット
- ライブハウス
- 映画館
- 遊園地
- EC・オフライン小売
オフライン小売りはPOSの進化と電子棚札(電子タグ)の活用の普及により、実現されています。
コンビニでもローソンなどで活用されているようです。
遊園地はUSJが行ったことで有名になりました。
ダイナミック・プライシングを設定することで会員登録につながり、収益の最大化を容易にしています。
ウィズコロナ時代のダイナミック・プライシング活用とは
かつては企業の収益最大化の為にダイナミック・プライシングを活用していましたが、このウィズコロナでは安全対策の面で価値を上げていきそうです。
ダイナミック・プライシングを活用する未来とは
ダイナミック・プライシングは欧米ではすでに根付いている価格設定です。
活用していくと
- 三蜜回避ができ、ウィズコロナ対策ができる
- 能動的な需要で安定雇用の創出
- 1,2によるサービスの質向上が期待
といった、未来が考えられますね。
三蜜回避ができ、ウィズコロナ対策ができる
需要に応じて価格を調整すると何が見込めるか。
価格に応じて、需要を作ることが能動的に出来ます。
価格を上げることで、稼働は下がり、蜜を避けて安心安全に商品を受け取け取ることが出来ます。
Gotoキャンペーンなどを活用しても、まだ見知らぬ人と接触し寝泊まりする宿泊はまだ皆さん不安な部分もあると思います。
日本の温泉旅館など、露天風呂付客室の人気もさることながら大浴場に対する人気も簡単に捨てられません。
温泉ホテルでの満足度は、食事のおいしさとレストランの混雑、チェックインの混雑、大浴場の清潔感が大きく占めます。
密を防ぐと、大浴場の清潔感は上がり大いなる満足感を得られるでしょう。
今後は、価格と蜜の調整が上手く進められればさらに満足度は上がることが期待できます。
見合ったサービスでの価格設定であれば、お客様は満足して支払います。
能動的な需要で安定雇用の創出
ダイナミックプライシングを活用している業界はまだ、労働型の業界が多いです。
その人員はAI化が進んでもとってかわることはないでしょう。
しかし、残念なことに閑散期や繁忙期のギャップが多いので正規雇用者が少なく、また定着率も低い、ブラック労働です。
能動的に安定化できる稼働を作り出すことで、安定雇用を創出できます。
人材のバランスもとれていない状況で、教育されることもなく現場に出ている業界はまだまだあります。
価格も安定しているので、正規社員の給与も上がっていくでしょう。
ウィズコロナの時代では、サービス業は不特定多数の方々を日々受け入れるエッセンシャル業として働く人々が誇りを持って働ける環境にしていかないといけません。
1,2によるサービスの質向上が期待
既に説明通りですね。
サービス業などは、人が主役となっています。
密を避けて、接客に余裕が生まれる、雇用が安定されて給与が増えていく事で働き手に仕事に対する誇りや満足度が上がるとそれがそのままサービスの質に反映されます。
顧客と従業員に共に良い影響を与えられます。
以前、私もいたホテルも「365日同一料金」をやめてから、クレームがなくなった事、事件(大浴場での湯あたりなどの救急搬送)事案の減少、従業員の定着と利益率が5%アップしました。
良い事ばかりでしたね。
ダイナミック・プライシングについて まとめ
業界の方は当たり前のこの考え方、皆さんご存知でしたでしょうか。
お恥ずかしながら、業界はいるまで飲食業だった私は全く知らない概念でした。
JRが通勤電車にダイナミック・プライシングを当てはめることで、安全に公共交通機関で通勤が可能になる日が来るのかもしれません。
または、通勤することがなくなって自宅でストレスフリーで働く人が増えるかもしれません。
飲食業界のダイナミック・プライシングの導入事例も増えてきています。
外食はあっても無くても良いものなので、もっと体験価値を上げることで能動的な価格にしても良いのでは、と思います。
デリバリーも同じですね、もっと根付いて良いサービスです。
払って食べる人はきちんと払いますからね。
経験から価格は高めに設定した方が良いです。
価格を下げる方法やタイミングは、いくらでもあるからです。
しかし、上げるのは難しい。
ウィズコロナの時代には外部との接点がおのずと減少してくることになります。
需要に応じて調整できるので、価格を高めに設定して、高価値のものを提供することを考えていく事が、満足度を上げてファンを定着させることにつながります。
その分、「能動的」という事が、これからの時代のキーワードになりそうです。
私も明日も小さくても新しいチャレンジしますね!
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